ビジネスモデル

異世界からのお客様と洋食屋さん

皆さんは、「異世界食堂」というアニメ、ご存知ですか?

僕がこの作品に出会ったのは、たまたま夜中に「何か観ようかな」とYouTubeをさまよっていた時でした。サムネイルに惹かれて何気なくクリックしたその一本が、まさかこんなに心に残るとは思っていませんでした。

物語の舞台は、ごく普通の街角にある洋食屋「猫屋」。しかしこのお店、週に一度、異世界とつながる扉が開くんです。エルフ、ドワーフ、リザードマン、異世界の住人たちが、その扉をくぐって現代の洋食を味わいにやってくる。

カツ丼に目を輝かせる騎士、エビフライに人生観を変えられた魔導士…。そんな彼らの背景にある物語もまた魅力的で、ただ料理を食べて「美味しいね」で終わらない、人と料理が交差するドラマがそこにあります。

戦いや争いとは無縁。静かに、そして温かく、「うまいなぁ…」としみじみ呟く彼らの姿に、なぜか涙腺が緩むこともあります。

アニメで描かれる料理って、なんであんなに美味しそうなんでしょうね。笑

でも僕は、そんな異世界の住人たちが“当たり前ではないもの”に感動する姿を見て、ふとあることを思ったんです。

「価値って、やっぱり相対的なんだな」と。


◆“当たり前”が“特別”になる瞬間

僕らにとってのカツ丼やナポリタンは、正直、そこまで珍しいものではありませんよね。

街に出れば、どこでも食べられるし、家でも作れます。

でも、それを初めて食べた異世界の住人たちは、涙が出るほど感動する。

ある者は、「この料理のためにもう一度来たい」と言い、

ある者は、「これが人生最高の食事だ」と語る。

…不思議ですよね。

でも、これって実は僕たちのビジネスの現場でも同じことが起こっているんです。

たとえば、

「そんなの、普通ですよ」と思っている自社のサービスやノウハウ。

「当たり前にやってるから、わざわざ伝えるほどじゃない」と感じてる技術。

それ、実は“異世界の誰か”にとっては、

喉から手が出るほど欲しい「奇跡のカツ丼」かもしれないんですよ。


◆“価値”は、場所と人で変わる

マーケティングの世界ではよく、

「ターゲットによって提供価値は変わる」と言います。

たとえば…

  • 日本では水はタダだけど、砂漠では高価。
  • 東京では当たり前のWi-Fiが、田舎では宝。
  • コンサル業界では当たり前のPDCAが、個人起業家には新鮮でありがたい。

つまり、価値というものは絶対ではなく、「誰に」「どこで」「どのタイミングで」提供するかによって全く変わってくる。

これを意識せず、「自分にとって当たり前だから、相手もそうだろう」と思ってしまうと、大きな損をしてしまうことがあります。

「自分の知識や経験は、たいしたことない」と感じていても、

それが別の業界や別の文化圏では、“異世界のカツ丼”のようにキラキラと輝く可能性がある。

だから私は思います。

価値を測る物差しは、常に“自分”ではなく“相手”に合わせるべきだと。

マーケティングって、価値の翻訳作業みたいなもので、

“この世界では普通”なものを、“別の世界の言語”に変換してあげることなんだと思うんですよね。

あなたが持っているそのサービス、知識、経験。

もしかするとそれは、あなたが気づいていないだけで、

“異世界の住人”たちが待ち望んでいる「猫屋の料理」かもしれません。


では、最後にお聞きしますね。

あなたにとっての“当たり前”は、誰かにとっての“特別”かもしれないとしたら?

もし今日、新しい扉が目の前に現れたら…

その向こうに、どんな世界の誰が待っていると思いますか?
その人が、あなたの「カツ丼」を待っているかもしれません。

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